ナカニの工場で注染(ちゅうせん)を体験
まずは、注染手ぬぐいブランド「にじゆら」を展開する、株式会社ナカニの工場へと向かいます。注染は大阪発祥の染色技法で、堺の伝統文化として現在も受け継がれています。1966年の創業当時から変わらない建屋は、レトロな佇まいで、歴史の深みを感じられる空間です。熟練された職人技により、手ぬぐいが次々と仕上げられます!
工場内をご案内いただいたのは、ナカニの中尾社長。
「注染の良さって色々あるんですけど、とくに染めに見られるグラデーションとぼかし。これはプリントではなかなか出せないんですよ!」と、注染の魅力や歴史などをわかりやすくお話しいただけます。
注染ってなに?という方も、注染について理解を深められます。
まずは、生地を伸ばしながらロール状に巻いていく作業から見学スタート。織り傷がないか、ひとつひとつ人の目で確認していきます。次に「板場」と呼ばれる工程へ。生地にデザイン型を置いて、染めない部分に糊を塗っていく作業です。この作業を熟達するのに3年はかかるのだとか。糊は海藻成分から作られているので、見学していると、磯の香りがほのかに漂ってきます。
続いて「壺人」(つぼんだ)と呼ばれる作業場で、染色工程を見学。色を分けるための土手をつくり、やかんのような容器に入った染料を生地に注いで染めます。染料の配合に職人技が光ります!
染色作業が終われば、「川」と呼ばれる洗い場へ。ここで、糊と余分な染料を綺麗に洗い流します。
最後は乾燥室を見学。約8メートルの高さから吊られた色鮮やかな手ぬぐいが、風にヒラヒラ揺られています。
ひととおり注染の工程を見学したあとは、いよいよ体験へ。簡単そうに見えて意外と難しく、思わず我を忘れて没頭してしまいます……。実際に体験してみることで、染料の配合の難しさや、手ぬぐいを効率良く染めていく過程について、理解が深まります。
体験が終わったら生地を乾燥させ、完成品を受け取ります。注染だからこそ出る繊細なぼかしやにじみ、グラデーションによって個性的な作品が生み出されます。また色や柄が可愛らしいだけでなく、汗をよく吸収し、速乾性がある手ぬぐいは、散走にぴったりのアイテムです。このあとの散走にも大活用まちがいなしです!
【株式会社ナカニ】
- 住所:堺市中区毛穴町338-6
- TEL:072-271-1294
- 営業時間:8:00〜17:15
※見学はイベント等で不定期開催しており、完全予約制です。SNSのライブ配信でも工場を見学頂けます。
茶寮つぼ市製茶本舗でホッと一休み
再び自転車を走らせ、茶寮つぼ市製茶本舗 堺本館へと向かいます。堺で創業し、170年以上続く老舗茶舗 株式会社つぼ市製茶本舗が運営するこちらの日本茶カフェは、堺散走で外せないスポットのひとつです。上品な和スイーツやお茶が、自転車を漕いで疲れた体を癒してくれます。
茶寮つぼ市製茶本舗 堺本館は元禄時代の町屋をリノベーションした店舗で、店内はノスタルジックな雰囲気が漂います。綺麗なお庭を眺めながら、落ち着いた店内で一休み。
夏場はかき氷が大人気!お茶をふんだんに使ったお茶料理・ほうじ茶粥のセットもお勧めです。お茶にはテアニンという成分が含まれていて、リラックス効果があるとのこと。また、香りにもアロマのように心を落ち着かせてくれる効果があるとされており、心と体が癒されます。
玉露を注文すると、飲み終えたあとに、茶殻をポン酢と合わせていただくことができます。この斬新なサービスも、つぼ市製茶本舗ならではの魅力。お茶を飲むだけでなく、茶葉そのものを味わうのも一興です。ほんのり苦く、シャキシャキした食感が絶妙ですので、ぜひお試しあれ。
お料理・スイーツを堪能しながら、ブランド推進部の三宅さんに、つぼ市製茶本舗の歴史や、お茶にまつわるお話をお聞きしました。「美味しいお茶の入れ方は?」「飲み終えた茶葉は実は料理にも使える!」など、家に帰ってすぐ実践できるノウハウを教えていただきました。知っているようで知らないお茶のアレコレを聞いているうちに、ついつい時間を忘れてしまいます。
【茶寮つぼ市製茶本舗】
- 住所:大阪府堺市堺区九間町東1丁1-2
- TEL:072-227-7809
- 営業時間:[物販]10:30~18:00 [カフェ/テイクアウト]11:00~L.O.17:30(閉店18:00)
- 定休日:火曜、年末年始 ※火曜が祝祭日の場合は通常通り営業いたします。
堺伝統産業会館で堺打刃物を見学
続いて、茶寮つぼ市製茶本舗 堺本館の近くにあり、2022年3月26日に一部展示がリニューアルされた堺伝統産業会館へ。
会館2階の堺刃物ミュージアムでは、堺の金属加工技術発展の歴史や、日本中の多くの料理人に熱く支持され続ける堺打刃物について学ぶことができます。さまざまな用途の刃物が数十点展示されており、とくに刃物で作られたシャンデリアの展示は必見です!
会館1階では展示を見るだけでなく、匠の技術がぎゅっと詰まった刃物を実際に購入いただけるショップもあります。堺の伝統工芸品や堺のお土産もショッピングが可能です。
【堺伝匠館】
- 住所:堺市堺区材木町西一丁1-30
- TEL:072-227-1001・072-233-2211
- 開館時間:10:00〜17:00
- 休館日:第三火曜日(但し、祝日の場合は、翌日休館)及び 年末年始 12/29~1/3(その他、臨時休業あり)
- 料金:無料
では見学を満喫したら、いよいよ最後の目的地、シマノ自転車博物館へと向かいます!
シマノ自転車博物館見学
シマノ自転車博物館に到着です!日本で唯一の自転車博物館として、2022年3月25日にオープンしました。世界的な自転車部品メーカーのシマノ社が設立した公益財団法人シマノ・サイクル開発センターが運営しており、サイクルラックや専用の駐輪場も完備されています。
エントランスではスタッフの方々とクラシック自転車が出迎えてくれます。
博物館では、スタッフの方に館内をご案内いただきました。
丁寧かつわかりやすい説明を受けながら見学することで、展示をより楽しむことができます。
1階の無料エリアでは、古代からの金属加工技術が培われた堺が自転車産業を発展させてきた歴史について知ることができます。
シンプルで美しく構成された館内。しかし、ただカッコいいだけではありません。自転車のヒストリーを紹介する映像は、非常にドラマチックで、短編映画を見ているようです。
メインの2階エリアは、自転車の誕生から普及の歴史、自転車の未来について、展示や映像を通して学ぶことができます。歴代の自転車の展示を見ると、地域の暮らしや地形に合わせて、また時代のトレンドに合わせて進化してきたものであることが強く感じられます。私たちの暮らしにある自転車の価値について気付きを得られ、自転車の未来の可能性を感じられるエリアです。
天井から吊るされた数えきれない程の自転車!
世界最速記録を出した自転車など、マニアにはたまらない貴重な展示も。
吹き抜けエリアからは一般非公開の自転車展示も一部、のぞくことができ、展示数の多さに圧倒されます。
【シマノ自転車博物館】
- 住所:大阪府堺市堺区南向陽町2-2-1
- TEL:072-221-3196 (代表)
- 開館時間:10:00〜16:30(入館は午後4:00 まで)
- 休館日:月曜日、祝日の翌日(土、日の場合は開館)、年末年始
- 料金:[一般]500円 [大学生・高校生]200円 [中学生以下]無料 [65歳以上]無料 [障がい者手帳お持ちの方]ご本人様および付き添い1名様無料
堺散走の魅力
堺散走は注染体験に始まり、老舗茶舗の茶寮でいただくお茶、堺打刃物、自転車、と堺の文化を大満喫できるコース設定になっています。アップダウンが少なく、初心者の方でも気軽に楽しんでいただけるのも魅力のひとつです。ただ自転車を走らせるだけではなく、風を感じながら、土地の空気感を味わいながら、堺の魅力を改めて発見できる機会にしてみてはいかがでしょうか。
今回の堺散走スペシャルコースを企画いただいたシマノスクエアでは、堺散走をはじめ定期的に散走イベントを開催しています。自転車の新しい楽しみ方を発見できるイベントが盛り沢山ですので、ぜひチェックしてみてください!
【シマノスクエア】
株式会社シマノの歴代製品や、自転車文化・釣り文化の事例を紹介するパネルや動画などを展示している店舗。自転車専門、釣り専門のコンシェルジュが定期的に在店し、自転車や釣具の選び方、ご要望に合わせたサイクリングコースや釣り場情報のご提案しています。併設のカフェでは、書籍を読みながらオリジナルスイーツも楽しめます。株式会社ナカニの注染手ぬぐいブランド『にじゆら』とコラボした、シマノスクエアオリジナル手ぬぐいも、こちらでお買い求めいただけます。
- 住所:大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪北館 ナレッジキャピタル4階
- 営業時間:11:00~19:00(ラストオーダー/フード 18:00 ドリンク18:30)
- 定休日:月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)
コースのおすすめコメント
散歩をするかのように自転車に乗って気の向くままに出掛けると、歩くよりも広範囲を気軽に散策することができます。
それをシマノスクエアでは「散走」と呼んでいますが、シマノ本社がございます堺市を中心に歴史や文化に触れる散走イベントを開催しております。この散走コースでは染色、刃物、お茶、自転車など堺の伝統的な文化的側面をご体感頂けると思います。自転車に乗ってのんびりと走りながら新たな発見や体験をあなたもしてみませんか。
シマノスクエア
浅野さん